まさか…結婚サギ?
ディナーの味もさることながら、上品な味わいのワインを由梨はまたしても、ついつい飲み過ぎてしまったかも知れず、デザートを食べた頃には少しばかり頬が暑くなっていた。
「さて、由梨が動けなくなる前に行こうか?」
さりげなく出された手を頼って由梨は
「どこに、ですか?」
そう聞くと貴哉はくすくすと笑った。
「由梨はここがどこだかわからないかな?」
そうか、ここはホテルの一階だった。と思い至る。
貴哉と共に上階にエレベーターに乗って向かう。
「こ、ここって…」
とんでもなく豪華な部屋に、きっとここはスイートルームではないかと由梨は直感する。
「ここで…ディナーにすることも出来たけど、由梨が緊張するかと思ってやめたんだ」
確かに…素面の状態では緊張しすぎて味わえなかったかも知れない。
「せっかくだから、あちこち見てまわる?」
「あ、はい!」
荷物はすでに部屋にあり、由梨は貴哉と共に部屋を見てまわる。
「ふわぁ…」
パリのような雰囲気で、豪華な室内にまるでお姫様みたいな、気分だ…。
貴哉はまた、ワインを出してきて手渡してくる。
「気に入った?」
「もちろん…こんな…素敵な一日にしてもらって…感動して…泣けちゃいます」
「由梨の目の前には、下心ありありの男がいるけど?」
くすくすと笑われて、由梨ははぽうっと貴哉を見上げた。
「下心…」
「こうして…」
貴哉は由梨の手を取ると、指先を口に持っていく
「食べようとしてるのに?」
エロティックな仕草で舌先でなぞられて由梨は、あ、と声をあげた。
「たか、やさん」
手のひらにキスをされて由梨はゾクゾクとする。伏せられた瞼が、頬に長い睫毛の影を落として、形よい眉と目のそのうっとりとするような造形にくらくらとさせられる。
「私で…良いなら…食べちゃって下さい…」
何を言ってるのか…!
と思いつつも、全ての事が由梨から理性を奪って行く。
「由梨、本当に可愛いね…」
左手の腕時計を外し、耳朶のイヤリングを外し、首から胸元のネックレスを外していく。貴哉の手は由梨のアクセサリーを外していくその度に敏感になっている肌にわずかに触れる。
その度に、由梨の体は小さな焔が灯されるように熱くなっていった。
なんて事ない行為のはずなのに、体の奥から疼くようにキュンとしてしまう。
見つめられて、自然と引き寄せられる磁石のように由梨の唇は貴哉のそれと合わさる。
しっかりとした腕に抱かれて、由梨も貴哉の背に手を回した。
キスをするのも、この先にある行為も初めてじゃない。なのに…。
どうしていいのか、わからない…。
「由梨…息、してる?」
「…ドキドキしすぎて…死んじゃいそう…」
その小さな呟きに貴哉は笑って、由梨を抱き抱えると広いベッドに横たえた。
「俺も、ドキドキしてる…俺も、死ぬかな?」
ぎしっときしむ音をさせて、貴哉の顔が迫る。
両腕で頭を囲むようにされるキスに、由梨はうっとりとしながらそれを受け入れ続けた。
ゆっくりと時間をかけて由梨の反応を確かめつつ、身も心も開いていくような貴哉の優しさに、由梨はやがて甘い声をあげながら、彼を受け入れた。
「由梨…好きだよ」
髪を撫でられて、もう中毒になりそうなほど触れあった唇が、由梨にキスをする。
それだけで由梨は蕩けるような気持ちになる。
「私も、貴哉さんが好きです…」
知り合ってから、2ヶ月足らず…。だけど、好きになるのに時間は関係ないのだ。
触れられるその手も、肌も、まるで由梨を酔わす媚薬のよう。
(ずっと…こうして、一緒にいたい…)
そう思うのは、あまりに危険だろうか?
せっかくだから、一緒に入ろう、と言われたバスルームはとても大きくて、豪華で…。
しかも、貴哉の裸体は思わず見惚れるほどの美しい男性美で、由梨は思わずしばらく見つめてしまった。
「触ってみる?」
「そ、そんな…」
「ふぅん?俺は…由梨のあちこちに、触りたいけど…」
湯船の中の由梨を見つめられて、のぼせそうになる。
「…恥ずかしいです…」
貴哉と比べると、本当に恥ずかしくなる。
どこからどうみても、不釣り合いにみえて仕方ない。
「…まぁ、そういう所も可愛くていいけど…」
ふっと微笑むその表情も色っぽく、心臓はもはや何年分も働いている気がしてしまう。
バスルームでも、貴哉に翻弄されて由梨はもはや許容範囲を越えて、恥ずかしさとそれに伴う悦楽に身も心も絶え絶えになっていった。
翌朝に目が覚めて、昨夜の事を思い出した由梨は身悶えしたくなるのを必死に堪えた。
「おはよう…早いね。由梨は…」
「おはようございます、貴哉さん…」
うん、と貴哉はキスを軽くしてくる。
朝食は部屋でとなっていたので、由梨は照れながら貴哉の前に座る。
由梨は、休みにしているが貴哉は仕事だろうか…?
そう思うが、それを聞くのは現実的過ぎて聞きづらい。
貴哉とベッドを共にした今は、由梨の世界は本当に輝いて見えて…仕事なんて行かないで…なんてそんな事も口走ってしまいそうだったからだ。
「…はぁ…行くのが嫌になるな」
由梨の心を代弁するかのような言葉に、げんきんにも喜んでしまう。
「…貴哉さんたら…」
そして、貴哉の車に乗り駅まで送ってもらうと一気に現実がやって来る。
「由梨、また電話する」
どんどん小さくなり、走り去っていく車を見つめると本当に淋しくなる。
泣きそうになるなんて…どうかしてる…。
「さて、由梨が動けなくなる前に行こうか?」
さりげなく出された手を頼って由梨は
「どこに、ですか?」
そう聞くと貴哉はくすくすと笑った。
「由梨はここがどこだかわからないかな?」
そうか、ここはホテルの一階だった。と思い至る。
貴哉と共に上階にエレベーターに乗って向かう。
「こ、ここって…」
とんでもなく豪華な部屋に、きっとここはスイートルームではないかと由梨は直感する。
「ここで…ディナーにすることも出来たけど、由梨が緊張するかと思ってやめたんだ」
確かに…素面の状態では緊張しすぎて味わえなかったかも知れない。
「せっかくだから、あちこち見てまわる?」
「あ、はい!」
荷物はすでに部屋にあり、由梨は貴哉と共に部屋を見てまわる。
「ふわぁ…」
パリのような雰囲気で、豪華な室内にまるでお姫様みたいな、気分だ…。
貴哉はまた、ワインを出してきて手渡してくる。
「気に入った?」
「もちろん…こんな…素敵な一日にしてもらって…感動して…泣けちゃいます」
「由梨の目の前には、下心ありありの男がいるけど?」
くすくすと笑われて、由梨ははぽうっと貴哉を見上げた。
「下心…」
「こうして…」
貴哉は由梨の手を取ると、指先を口に持っていく
「食べようとしてるのに?」
エロティックな仕草で舌先でなぞられて由梨は、あ、と声をあげた。
「たか、やさん」
手のひらにキスをされて由梨はゾクゾクとする。伏せられた瞼が、頬に長い睫毛の影を落として、形よい眉と目のそのうっとりとするような造形にくらくらとさせられる。
「私で…良いなら…食べちゃって下さい…」
何を言ってるのか…!
と思いつつも、全ての事が由梨から理性を奪って行く。
「由梨、本当に可愛いね…」
左手の腕時計を外し、耳朶のイヤリングを外し、首から胸元のネックレスを外していく。貴哉の手は由梨のアクセサリーを外していくその度に敏感になっている肌にわずかに触れる。
その度に、由梨の体は小さな焔が灯されるように熱くなっていった。
なんて事ない行為のはずなのに、体の奥から疼くようにキュンとしてしまう。
見つめられて、自然と引き寄せられる磁石のように由梨の唇は貴哉のそれと合わさる。
しっかりとした腕に抱かれて、由梨も貴哉の背に手を回した。
キスをするのも、この先にある行為も初めてじゃない。なのに…。
どうしていいのか、わからない…。
「由梨…息、してる?」
「…ドキドキしすぎて…死んじゃいそう…」
その小さな呟きに貴哉は笑って、由梨を抱き抱えると広いベッドに横たえた。
「俺も、ドキドキしてる…俺も、死ぬかな?」
ぎしっときしむ音をさせて、貴哉の顔が迫る。
両腕で頭を囲むようにされるキスに、由梨はうっとりとしながらそれを受け入れ続けた。
ゆっくりと時間をかけて由梨の反応を確かめつつ、身も心も開いていくような貴哉の優しさに、由梨はやがて甘い声をあげながら、彼を受け入れた。
「由梨…好きだよ」
髪を撫でられて、もう中毒になりそうなほど触れあった唇が、由梨にキスをする。
それだけで由梨は蕩けるような気持ちになる。
「私も、貴哉さんが好きです…」
知り合ってから、2ヶ月足らず…。だけど、好きになるのに時間は関係ないのだ。
触れられるその手も、肌も、まるで由梨を酔わす媚薬のよう。
(ずっと…こうして、一緒にいたい…)
そう思うのは、あまりに危険だろうか?
せっかくだから、一緒に入ろう、と言われたバスルームはとても大きくて、豪華で…。
しかも、貴哉の裸体は思わず見惚れるほどの美しい男性美で、由梨は思わずしばらく見つめてしまった。
「触ってみる?」
「そ、そんな…」
「ふぅん?俺は…由梨のあちこちに、触りたいけど…」
湯船の中の由梨を見つめられて、のぼせそうになる。
「…恥ずかしいです…」
貴哉と比べると、本当に恥ずかしくなる。
どこからどうみても、不釣り合いにみえて仕方ない。
「…まぁ、そういう所も可愛くていいけど…」
ふっと微笑むその表情も色っぽく、心臓はもはや何年分も働いている気がしてしまう。
バスルームでも、貴哉に翻弄されて由梨はもはや許容範囲を越えて、恥ずかしさとそれに伴う悦楽に身も心も絶え絶えになっていった。
翌朝に目が覚めて、昨夜の事を思い出した由梨は身悶えしたくなるのを必死に堪えた。
「おはよう…早いね。由梨は…」
「おはようございます、貴哉さん…」
うん、と貴哉はキスを軽くしてくる。
朝食は部屋でとなっていたので、由梨は照れながら貴哉の前に座る。
由梨は、休みにしているが貴哉は仕事だろうか…?
そう思うが、それを聞くのは現実的過ぎて聞きづらい。
貴哉とベッドを共にした今は、由梨の世界は本当に輝いて見えて…仕事なんて行かないで…なんてそんな事も口走ってしまいそうだったからだ。
「…はぁ…行くのが嫌になるな」
由梨の心を代弁するかのような言葉に、げんきんにも喜んでしまう。
「…貴哉さんたら…」
そして、貴哉の車に乗り駅まで送ってもらうと一気に現実がやって来る。
「由梨、また電話する」
どんどん小さくなり、走り去っていく車を見つめると本当に淋しくなる。
泣きそうになるなんて…どうかしてる…。