まさか…結婚サギ?
ダイニングルームに着くと、貴哉が立って由梨の側に来ると、椅子を引いて
「どうぞ、座って」
「ありがとう…」
由梨は貴哉の隣に座ると、みんなきっちりとおしゃれなスーツ姿なのに気がついた。
麻里絵は、グリーンとシルバーグレイのレースが綺麗なドレスである。
「洸介」
貴哉の父、暎一が声をかける。
「…由梨さん。先程は失礼な事を言ってしまい、申し訳なかった」
と呼ばれた洸介が立ち上がって謝ってきた。
由梨はぎょっとしてしまい、慌てて
「いえ…もう、気にしていませんから。私の方こそ社会人らしくなく反応をしてしまってすみませんでした」
「え~それで、椿というのは…」
「その件は…また、貴哉さんからきちんとお聞きします。ですから洸介さんは、お気になさらないで、大丈夫ですから」
由梨は椿の事を気にしてしまったが、もうこれ以上詳しく聞きたくなかった。詳しく聞きすぎると、よりいたたまれない気持ちになりそうだ。
「そうね、気分を切り替えて美味しく頂きましょう、ね?」
麻里絵がそう言うと、料理が運ばれてくる。
見た目も美しい前菜に由梨の気持ちもすこし和らぐ。
「由梨ちゃんは、看護師さんなのよね?やっぱり大変なの?」
麻里絵が由梨に話しかけてくる。
貴哉から聞いたのかな?と由梨は思い麻里絵を見た。
「そうですね…。やはり大変な責任を負う仕事だと、そう思ってます」
「貴哉もね、入院したことがあるのよ?」
「そうなんですか?それは大変でしたね」
由梨は麻里絵に、聞いて貴哉の方を見た。
「それでね、その時入院してるときに学生さんが来ててとってもひたむきで、可愛らしかったのよ」
由梨も、学生の時には病院に実習に行ったものだ。
「そうなんですね…。私も学生の時は病院に実習に行きました」
「実習厳しい?」
志歩が聞いてくる。
「あまり、思い出したくないくらいには」
躊躇いつつ答えた。
「最初の、実習は…本当にどうしていいかわからなくて、先生には怒られるし、泣いたらそれでさらに怒られるし…」
「泣いたら、怒られるの?」
「病気で入院してる患者さんの前で、泣くなんて言語道断です、って。今でもその、言葉だけは鮮明に覚えてます」
志歩がそれに深く頷いた。
「厳しそう」
「志歩さんも、厳しかったでしょう?」
「そうだね。でも、今はとても楽しい」
「それはとても素敵ですね」
由梨は志歩に微笑みかけた。
「由梨ちゃんは前はどこに勤めてたの?」
絢斗が軽い口調で聞いてきた。
「去年までは桐王大学附属病院にいました」
由梨は別に隠すことでもないが、何となく身辺調査のように思うが気にしないよう、自分に言い聞かせる。
「あれ、その貴兄の入院した病院だよね?」
「あ、そうなんですか?偶然ですね」
由梨は貴哉の方を見ると、貴哉の眼が冷たく絢斗を見ている。
「どうかしましたか?」
「…いや…」
「由梨ちゃん、いたかな?貴兄の入院って19歳のときだっけ?」
「そうそう、その位ね」
「由梨ちゃんもいたかも?」
「19歳だったら…7年くらい前ですか?さすがにまだ勤めてなかったです」
そう答えると、何だか絢斗の反応が妙で由梨は首を傾げた。
「どうぞ、座って」
「ありがとう…」
由梨は貴哉の隣に座ると、みんなきっちりとおしゃれなスーツ姿なのに気がついた。
麻里絵は、グリーンとシルバーグレイのレースが綺麗なドレスである。
「洸介」
貴哉の父、暎一が声をかける。
「…由梨さん。先程は失礼な事を言ってしまい、申し訳なかった」
と呼ばれた洸介が立ち上がって謝ってきた。
由梨はぎょっとしてしまい、慌てて
「いえ…もう、気にしていませんから。私の方こそ社会人らしくなく反応をしてしまってすみませんでした」
「え~それで、椿というのは…」
「その件は…また、貴哉さんからきちんとお聞きします。ですから洸介さんは、お気になさらないで、大丈夫ですから」
由梨は椿の事を気にしてしまったが、もうこれ以上詳しく聞きたくなかった。詳しく聞きすぎると、よりいたたまれない気持ちになりそうだ。
「そうね、気分を切り替えて美味しく頂きましょう、ね?」
麻里絵がそう言うと、料理が運ばれてくる。
見た目も美しい前菜に由梨の気持ちもすこし和らぐ。
「由梨ちゃんは、看護師さんなのよね?やっぱり大変なの?」
麻里絵が由梨に話しかけてくる。
貴哉から聞いたのかな?と由梨は思い麻里絵を見た。
「そうですね…。やはり大変な責任を負う仕事だと、そう思ってます」
「貴哉もね、入院したことがあるのよ?」
「そうなんですか?それは大変でしたね」
由梨は麻里絵に、聞いて貴哉の方を見た。
「それでね、その時入院してるときに学生さんが来ててとってもひたむきで、可愛らしかったのよ」
由梨も、学生の時には病院に実習に行ったものだ。
「そうなんですね…。私も学生の時は病院に実習に行きました」
「実習厳しい?」
志歩が聞いてくる。
「あまり、思い出したくないくらいには」
躊躇いつつ答えた。
「最初の、実習は…本当にどうしていいかわからなくて、先生には怒られるし、泣いたらそれでさらに怒られるし…」
「泣いたら、怒られるの?」
「病気で入院してる患者さんの前で、泣くなんて言語道断です、って。今でもその、言葉だけは鮮明に覚えてます」
志歩がそれに深く頷いた。
「厳しそう」
「志歩さんも、厳しかったでしょう?」
「そうだね。でも、今はとても楽しい」
「それはとても素敵ですね」
由梨は志歩に微笑みかけた。
「由梨ちゃんは前はどこに勤めてたの?」
絢斗が軽い口調で聞いてきた。
「去年までは桐王大学附属病院にいました」
由梨は別に隠すことでもないが、何となく身辺調査のように思うが気にしないよう、自分に言い聞かせる。
「あれ、その貴兄の入院した病院だよね?」
「あ、そうなんですか?偶然ですね」
由梨は貴哉の方を見ると、貴哉の眼が冷たく絢斗を見ている。
「どうかしましたか?」
「…いや…」
「由梨ちゃん、いたかな?貴兄の入院って19歳のときだっけ?」
「そうそう、その位ね」
「由梨ちゃんもいたかも?」
「19歳だったら…7年くらい前ですか?さすがにまだ勤めてなかったです」
そう答えると、何だか絢斗の反応が妙で由梨は首を傾げた。