まさか…結婚サギ?
「絢斗くんは大学生?」
一葉の話題が出たからか、和花が聞いている。
「俺は大学院生だよ」
「じゃあ、私たちと同じ年なのかな?」
「24?」
「あ、一緒だぁ~。じゃあ、りんさんは?」
「22だな」
「あ、聞いちゃった…」
和花が耳を押さえた。その姿がとても可愛らしい。
由梨はクスクス笑った。
「由梨さ、そういえば白石先生から電話あった?」
「え?」
「見かけないけど、どうしたのかって聞かれたから。3月で辞めましたって、言っておいたよ。だから、電話でももしかしたらかかってきたかななんて」
(それで、かかってきたのかな…)
「そうなんだ」
「気づくの遅いよね」
和花の言う白石先生は…。
渉は、去年の4月から研修医として由梨と同じ桐王学附属病院に勤務している。その事も由梨の退職の理由の一つだ。
和花と絢斗は、話が合うのか食事中も楽しそうに話している。麻里絵もそこに混じってとても楽しい昼ごはんになった。
「そろそろ、行かないと」
貴哉が時計を見て、伝票を持った。
「あら私が」
「もう、親に払ってもらう年じゃありませんから」
と貴哉はクールに言い、カードで支払っている。
「へぇ、なんだかすることもスマートで格好いいね、由梨の彼」
和花がこそっと耳打ちしてきた。
揃って劇場に着くと、由梨と貴哉は前の方のとても良い席で、麻里絵と絢斗それから和花は並んで座っていた。
「貴哉さんははじめてなんですよね?」
「そうだな」
「こんな近くで観れるなんて本当にラッキーですね」
そうして、華やかな舞台が始まる。
琴塚歌劇団の真珠、瑠璃、紅玉、翡翠、琥珀と組があり、星乃りんはこの内の真珠に属している。
この日の演目は、とても人気あるミュージカルが元になっていて、りんの役は出番は少ないもののとても目立つ役柄で良いところで見せ場がある。
トップの響 羅衣留(らいる)は長身で演技力、歌唱力に優れたとても実力と人気があるのだ。
前半があっという間に終わる。
「どうですか?貴哉さん」
「いや…こんなに面白い物だとは思わなかったよ。すごいね」
「良かった」
貴哉は見た目によらず、感激やさんだと由梨は思う。
後半に羅衣留とりんの見せ場がやって来ると、その迫力に貴哉も真剣に見いっていて由梨は嬉しくなった。
志歩こと、りんの歌は羅衣留の声と良く合っていてとても凄く感激させられる。
フィナーレはファンでなくてもきっと知っている大階段が登場して由梨は感激しながら毎回見てしまう。
「良かったですね…」
「そうだね、志歩があんな風だとは知らなかったな」
「お兄さんなのにもったいないですね」
由梨が言うと、
「じゃあ、志歩にまた由梨と観に来るからチケットを頼むことにするよ」
「嬉しいです」
貴哉の言葉に由梨はにこにこと返事をした。
麻里絵たちと合流すると、
「のんちゃんも、送っていくよ」
と絢斗が言うと、
「良いんですか!これで帰ったら即寝ます!」
「のん、今日は深夜?」
「そ、稼ぐよ~」
と力こぶを作ってる。
「頼もしいねのんちゃんは」
「うちは、親がいないから。頑張らないとね、弟に就職祝いもあげないとだし」
「え、そうなんだ!?」
「そ、すごい?私って頑張っちゃってるの」
ふふふっと和花は笑った。
「由梨が辞めた後もさ、やっぱり続々辞めていっちゃうよ。やっぱり3年って区切りなんだよね~」
「うん…」
「いくらちゃんとしてる病院でもさ、やっぱり交代勤務って大変だもんね」
「うん…」
「私も一葉が就職して落ち着くまでは!と思って耐えてるだけ」
「そうなの?」
「うん。大学病院で6年働いたらとりあえずキャリアは出来てるし、どこでも行けるもんね」
一葉の話題が出たからか、和花が聞いている。
「俺は大学院生だよ」
「じゃあ、私たちと同じ年なのかな?」
「24?」
「あ、一緒だぁ~。じゃあ、りんさんは?」
「22だな」
「あ、聞いちゃった…」
和花が耳を押さえた。その姿がとても可愛らしい。
由梨はクスクス笑った。
「由梨さ、そういえば白石先生から電話あった?」
「え?」
「見かけないけど、どうしたのかって聞かれたから。3月で辞めましたって、言っておいたよ。だから、電話でももしかしたらかかってきたかななんて」
(それで、かかってきたのかな…)
「そうなんだ」
「気づくの遅いよね」
和花の言う白石先生は…。
渉は、去年の4月から研修医として由梨と同じ桐王学附属病院に勤務している。その事も由梨の退職の理由の一つだ。
和花と絢斗は、話が合うのか食事中も楽しそうに話している。麻里絵もそこに混じってとても楽しい昼ごはんになった。
「そろそろ、行かないと」
貴哉が時計を見て、伝票を持った。
「あら私が」
「もう、親に払ってもらう年じゃありませんから」
と貴哉はクールに言い、カードで支払っている。
「へぇ、なんだかすることもスマートで格好いいね、由梨の彼」
和花がこそっと耳打ちしてきた。
揃って劇場に着くと、由梨と貴哉は前の方のとても良い席で、麻里絵と絢斗それから和花は並んで座っていた。
「貴哉さんははじめてなんですよね?」
「そうだな」
「こんな近くで観れるなんて本当にラッキーですね」
そうして、華やかな舞台が始まる。
琴塚歌劇団の真珠、瑠璃、紅玉、翡翠、琥珀と組があり、星乃りんはこの内の真珠に属している。
この日の演目は、とても人気あるミュージカルが元になっていて、りんの役は出番は少ないもののとても目立つ役柄で良いところで見せ場がある。
トップの響 羅衣留(らいる)は長身で演技力、歌唱力に優れたとても実力と人気があるのだ。
前半があっという間に終わる。
「どうですか?貴哉さん」
「いや…こんなに面白い物だとは思わなかったよ。すごいね」
「良かった」
貴哉は見た目によらず、感激やさんだと由梨は思う。
後半に羅衣留とりんの見せ場がやって来ると、その迫力に貴哉も真剣に見いっていて由梨は嬉しくなった。
志歩こと、りんの歌は羅衣留の声と良く合っていてとても凄く感激させられる。
フィナーレはファンでなくてもきっと知っている大階段が登場して由梨は感激しながら毎回見てしまう。
「良かったですね…」
「そうだね、志歩があんな風だとは知らなかったな」
「お兄さんなのにもったいないですね」
由梨が言うと、
「じゃあ、志歩にまた由梨と観に来るからチケットを頼むことにするよ」
「嬉しいです」
貴哉の言葉に由梨はにこにこと返事をした。
麻里絵たちと合流すると、
「のんちゃんも、送っていくよ」
と絢斗が言うと、
「良いんですか!これで帰ったら即寝ます!」
「のん、今日は深夜?」
「そ、稼ぐよ~」
と力こぶを作ってる。
「頼もしいねのんちゃんは」
「うちは、親がいないから。頑張らないとね、弟に就職祝いもあげないとだし」
「え、そうなんだ!?」
「そ、すごい?私って頑張っちゃってるの」
ふふふっと和花は笑った。
「由梨が辞めた後もさ、やっぱり続々辞めていっちゃうよ。やっぱり3年って区切りなんだよね~」
「うん…」
「いくらちゃんとしてる病院でもさ、やっぱり交代勤務って大変だもんね」
「うん…」
「私も一葉が就職して落ち着くまでは!と思って耐えてるだけ」
「そうなの?」
「うん。大学病院で6年働いたらとりあえずキャリアは出来てるし、どこでも行けるもんね」