まさか…結婚サギ?
「のんちゃん、何時起き?コールしようか?」
「大丈夫大丈夫!そのかわり、車で寝ちゃうかも。着いたら起こしてね」
「わかった~」
絢斗の隣に麻里絵。後ろに貴哉と由梨と和花が乗る。
桐王大学附属病院のすぐ近くにある寮は、由梨もかつて住んでいた所である。乗り込んですぐに眠った和花の代わりに案内をする。
お正月だからきっと今回は無理な勤務になっているのだろう。
「明るいね、和花さんは」
「そうなんです。和花はいつも、元気いっぱいなんですよ」
「親がいないなんて、大変だっただろうね」
「そうですね…」
由梨は、和花から聞いている。
和花の父は愛人と暮らしている、母はそんな父に愛想をつかして出ていったのだ。残された和花と一葉を育ててくれたのは祖父母で、早く安定した給料を得るために看護師を選んだのだと言う。
実際、高校の衛生看護科を選ぶ少女たちの中にはそういった家庭環境が複雑な子供たちが多かった。
継母とうまくいっておらず、早く自立したい。片親である。等々直接聞いた中でもそれくらいはあるのだ。
18歳で准看護師になれ、20歳で看護師になれるのは最短のコースなのである。 だからこそ確実に就職出来て、稼ぐ事の出来るこの道をみんな選んだのだと。
奨学金を桐王大学附属病院に出してもらった由梨たちは、高校の入学と共にこの病院で働くことが決まっている。つまり、就職まで一直線なのだ。
しかし、和花たちは大学病院では出世はまず出来ないと言う。それは由梨たちの世代になると四年大学を卒業した看護師たちがいるからである。
だからこそ、和花も辞めようかと言っている訳なのである。
他の病院でなら、役職にもつけるからである。
やがて大きな病院が見えてくる。その近くのマンションが寮になっている。
「のん、和花…起きて、着いたよ?」
「うん…」
ふぁ、とあくびをすると和花はシャキッと起きて
「送ってもらってありがとうございました!由梨、また今度休みにご飯でも行こ」
「うん、またね」
「のんちゃん、またね~」
「お疲れ様ね、また一緒にご飯でもしましょ」
貴哉も和花に会釈をする。
和花は元気よく駆け出してマンションに入っていった。
「あ!連絡先、聞くの忘れた。由梨さん、教えてくれる?」
「和花に聞いてからなら」
「あ、じゃあよろしく」
(…え、今って事?)
由梨は絢斗の眼差しをうけて、和花の携帯に電話をかけた。
「あ、のん?絢斗くんに、のんの連絡先、教えていい?」
『いいよ、べつに~』
「ん、わかった、じゃね」
期待に満ちた眼をしているので、由梨はバッグからメモに和花の連絡先を書いて絢斗に渡した。
「どうぞ」
「ありがとう」
絢斗はそういうと、機嫌良く運転して紺野家へ向かった。
「大丈夫大丈夫!そのかわり、車で寝ちゃうかも。着いたら起こしてね」
「わかった~」
絢斗の隣に麻里絵。後ろに貴哉と由梨と和花が乗る。
桐王大学附属病院のすぐ近くにある寮は、由梨もかつて住んでいた所である。乗り込んですぐに眠った和花の代わりに案内をする。
お正月だからきっと今回は無理な勤務になっているのだろう。
「明るいね、和花さんは」
「そうなんです。和花はいつも、元気いっぱいなんですよ」
「親がいないなんて、大変だっただろうね」
「そうですね…」
由梨は、和花から聞いている。
和花の父は愛人と暮らしている、母はそんな父に愛想をつかして出ていったのだ。残された和花と一葉を育ててくれたのは祖父母で、早く安定した給料を得るために看護師を選んだのだと言う。
実際、高校の衛生看護科を選ぶ少女たちの中にはそういった家庭環境が複雑な子供たちが多かった。
継母とうまくいっておらず、早く自立したい。片親である。等々直接聞いた中でもそれくらいはあるのだ。
18歳で准看護師になれ、20歳で看護師になれるのは最短のコースなのである。 だからこそ確実に就職出来て、稼ぐ事の出来るこの道をみんな選んだのだと。
奨学金を桐王大学附属病院に出してもらった由梨たちは、高校の入学と共にこの病院で働くことが決まっている。つまり、就職まで一直線なのだ。
しかし、和花たちは大学病院では出世はまず出来ないと言う。それは由梨たちの世代になると四年大学を卒業した看護師たちがいるからである。
だからこそ、和花も辞めようかと言っている訳なのである。
他の病院でなら、役職にもつけるからである。
やがて大きな病院が見えてくる。その近くのマンションが寮になっている。
「のん、和花…起きて、着いたよ?」
「うん…」
ふぁ、とあくびをすると和花はシャキッと起きて
「送ってもらってありがとうございました!由梨、また今度休みにご飯でも行こ」
「うん、またね」
「のんちゃん、またね~」
「お疲れ様ね、また一緒にご飯でもしましょ」
貴哉も和花に会釈をする。
和花は元気よく駆け出してマンションに入っていった。
「あ!連絡先、聞くの忘れた。由梨さん、教えてくれる?」
「和花に聞いてからなら」
「あ、じゃあよろしく」
(…え、今って事?)
由梨は絢斗の眼差しをうけて、和花の携帯に電話をかけた。
「あ、のん?絢斗くんに、のんの連絡先、教えていい?」
『いいよ、べつに~』
「ん、わかった、じゃね」
期待に満ちた眼をしているので、由梨はバッグからメモに和花の連絡先を書いて絢斗に渡した。
「どうぞ」
「ありがとう」
絢斗はそういうと、機嫌良く運転して紺野家へ向かった。