まさか…結婚サギ?
「本当に気にしちゃダメだからね?由梨ちゃん」
珠稀がそう慰めるように言ってくる。
「はい…」
由梨は、結局プレートランチの半分くらいを残してしまい、夏菜子と結愛を心配させてしまった。
「落ち込むことないよ、単に客人ってだけでしょ?」
「そうですね」
その日も、いつものように仕事を終えると、貴哉がクリニック前で待っていた。
「お疲れ様、由梨」
「はい、お疲れ様です。貴哉さんも」
優しく微笑みを向けられて、由梨は駆け寄った。
自然と手を繋いで歩き出す。
「今日は出張だったとか?」
「うん。そう、由梨と約束してるから日帰りで終わらせてきた」
「良かったんですか?」
「俺って、優秀だから」
その時おり、事実そうなのだろうけど、自信満々な貴哉にやはり由梨は笑ってしまう。
「素敵です」
「良かった…笑った」
「え?」
「この間から…由梨が色々と気にしてる気がして、笑顔が無理やりっぽかったから」
安堵した様子に、由梨は笑みを浮かべた。
「心配、してくれてたんですね」
「まぁ、そういうこと」
この日は泊まりだから、居酒屋で食事をして、それからおしゃれなbarに移動した。
「そうだ…ついに、完成したんですよ」
「ん?」
「姉の、結婚式のくまと、ピロー」
「へぇ~?見せて」
由梨は、完成したくまとピローの写真を見せた。
「こんなの作れるんだな、上手い事作れたね」
「よく見るとガタガタでダメです」
「頑張ったね、由梨。お姉さんも喜んだ?」
「姉は、こういうの全くダメなので、喜んでくれましたよ」
「よかったね」
綺麗な笑みを向けられて、由梨は、心が浮き立った。
「由梨は、お酒が弱いからそろそろ行こうか?」
「はい」
由梨は、貴哉と共に立ち上がり、寄りかかるように歩き出した。
「貴哉さん…」
(会っていた美人って誰ですか)
そう聞きたいのに、さらりと聞いて、その答えを聞きたいのに、その事で壊れる物があるかも知れないと由梨は、口をつぐんでしまった。
「どうしたの?」
「私…一緒にいられて、嬉しいです…」
「うん。俺もだ」
(信じたい…この人の事を…)
オフィス街からなん駅か離れた少し静かな駅に降り立った。
駅から10分ほど歩いて、たどり着くとオートロック式の新しそうなマンションであった。
5階だてで、下がコンビニが入っていて、とても便利そうだ。
マンションの駐車場には貴哉の車も停まっている。
「ここ…」
「狭くて驚くよ」
「何もないから、なんか買っていく?」
「はい」
明日の分の朝食と、飲み物を買うと貴哉と共にオートロックの自動ドアを通ってエレベーターに乗り込む。
すっきりとしたワンルームの部屋にはソファとテーブルが置かれていて、本当にそれだけ。
よくよく見れば窓の外には洗濯物。それからソファの横には低めの本棚が置かれていて、難しそうな本がぎっしり詰まっていた。
後はほとんど物が見当たらず、無駄が一切無さそうな貴哉らしい空間だ。
珠稀がそう慰めるように言ってくる。
「はい…」
由梨は、結局プレートランチの半分くらいを残してしまい、夏菜子と結愛を心配させてしまった。
「落ち込むことないよ、単に客人ってだけでしょ?」
「そうですね」
その日も、いつものように仕事を終えると、貴哉がクリニック前で待っていた。
「お疲れ様、由梨」
「はい、お疲れ様です。貴哉さんも」
優しく微笑みを向けられて、由梨は駆け寄った。
自然と手を繋いで歩き出す。
「今日は出張だったとか?」
「うん。そう、由梨と約束してるから日帰りで終わらせてきた」
「良かったんですか?」
「俺って、優秀だから」
その時おり、事実そうなのだろうけど、自信満々な貴哉にやはり由梨は笑ってしまう。
「素敵です」
「良かった…笑った」
「え?」
「この間から…由梨が色々と気にしてる気がして、笑顔が無理やりっぽかったから」
安堵した様子に、由梨は笑みを浮かべた。
「心配、してくれてたんですね」
「まぁ、そういうこと」
この日は泊まりだから、居酒屋で食事をして、それからおしゃれなbarに移動した。
「そうだ…ついに、完成したんですよ」
「ん?」
「姉の、結婚式のくまと、ピロー」
「へぇ~?見せて」
由梨は、完成したくまとピローの写真を見せた。
「こんなの作れるんだな、上手い事作れたね」
「よく見るとガタガタでダメです」
「頑張ったね、由梨。お姉さんも喜んだ?」
「姉は、こういうの全くダメなので、喜んでくれましたよ」
「よかったね」
綺麗な笑みを向けられて、由梨は、心が浮き立った。
「由梨は、お酒が弱いからそろそろ行こうか?」
「はい」
由梨は、貴哉と共に立ち上がり、寄りかかるように歩き出した。
「貴哉さん…」
(会っていた美人って誰ですか)
そう聞きたいのに、さらりと聞いて、その答えを聞きたいのに、その事で壊れる物があるかも知れないと由梨は、口をつぐんでしまった。
「どうしたの?」
「私…一緒にいられて、嬉しいです…」
「うん。俺もだ」
(信じたい…この人の事を…)
オフィス街からなん駅か離れた少し静かな駅に降り立った。
駅から10分ほど歩いて、たどり着くとオートロック式の新しそうなマンションであった。
5階だてで、下がコンビニが入っていて、とても便利そうだ。
マンションの駐車場には貴哉の車も停まっている。
「ここ…」
「狭くて驚くよ」
「何もないから、なんか買っていく?」
「はい」
明日の分の朝食と、飲み物を買うと貴哉と共にオートロックの自動ドアを通ってエレベーターに乗り込む。
すっきりとしたワンルームの部屋にはソファとテーブルが置かれていて、本当にそれだけ。
よくよく見れば窓の外には洗濯物。それからソファの横には低めの本棚が置かれていて、難しそうな本がぎっしり詰まっていた。
後はほとんど物が見当たらず、無駄が一切無さそうな貴哉らしい空間だ。