まさか…結婚サギ?
4月、妊娠5ヶ月になり腹帯を神社でもらいそれを戌の日に巻いた。
貴哉はこういうことをきっちり調べて、しっかりとする質のようで、とても由梨は意外に思った。
見た目は全く家庭的でないのに…。
検診には、この日麻里絵も付き合うと言い出し、貴哉と3人で桐王病院に向かう。
「そろそろマタニティの服がいるわよね?帰りに買いに行きましょ」
麻里絵が、後部座席から助手席の由梨に言ってきた。
麻里絵の買い物と言えば、まだ由梨は覚えている、あの買い方である。
「あの、麻里絵さん、私自分で買いますから…」
それなりにこれまでコツコツ貯めた貯金はある。
「由梨ちゃん、私の楽しみを奪わないで。由梨ちゃんの赤ちゃんは、私の初孫なの」
「ですけど…」
「なにかせずにはいられないの。体が辛いのも、出産も変わることは出来ないでしょう?」
「確かにそうだよな、由梨。母さんと買ってきたら?」
貴哉に言われては、従うしかない。
検診には貴哉と共に中に入り、エコーを見せてもらう。
「順調ですね。性別は…聞きたいですか?」
由梨は貴哉の顔を窺った。
「わかるなら…」
「じゃあ、教えて下さい」
「うん。じゃあ、見てみるよ~、うまく見えるかな?」
プローブを動かして色んな角度から胎児を映す。
「こっちの子は…男の子、かな?もう一人は…うーん。隠してるなぁ…」
「男の子…」
由梨はぱあっと微笑んだ。
「男の子、嬉しい?」
「はい」
「俺は、由梨に似てる女の子が良かったけどな」
「どっちに似てもかわいい子が産まれるよ。紺野さん」
医師が、浮かれる夫婦に笑いながらそう言った。
いつものようにエコー写真をもらって外に出ると、
「ねぇ、あっちに赤ちゃんが並んでるのが見えるの。行ってみない?」
麻里絵に誘われて新生児室の前の窓を見る。
生まれたての赤ちゃんが並んでいて、とても可愛い。
そうして見ていると、NICUの方から医師が歩いてきた。
「あ…」
由梨はその医師を見て声を上げた。
「やっぱり、由梨だった」
笑みを向けるのは渉だった。
渉は側にいる麻里絵と貴哉に会釈をする。
「もしかして、小児科を選んだの?」
「そう、いつか自分の病院をもって由梨に支えて貰うつもりだったけど…。うん、完全に振られた気分だよ」
渉は苦笑している。
「お前が由梨と別れたのが悪いな。自業自得だ」
「そうだな、うん。その通り、反論の余地もない」
くくっと笑うと
「由梨の出産の時は俺も小児科ドクターとして立ち合う予定だから、よろしく」
「え、そうなの?」
「まぁ、これでも日々医者としては成長してるから安心して」
「あ、そうか。カルテ見たんだ」
「そういうこと」
「では、紺野さん。出産まで、頑張って」
渉はお辞儀をすると、足早に立ち去っていく。
「あの、お医者さん由梨ちゃんの元カレ?」
「…気にくわないけどな」
「あらあら…」
麻里絵は楽しそうに笑いながら、貴哉と渉を見比べている。
「彼の方が由梨ちゃんと親しく見えちゃうわね」
「…比べなくていい」
確かに、相変わらず貴哉には敬語だけれど、渉には普通に話してる。どうしてもそうなってしまうのだ…。
貴哉はこういうことをきっちり調べて、しっかりとする質のようで、とても由梨は意外に思った。
見た目は全く家庭的でないのに…。
検診には、この日麻里絵も付き合うと言い出し、貴哉と3人で桐王病院に向かう。
「そろそろマタニティの服がいるわよね?帰りに買いに行きましょ」
麻里絵が、後部座席から助手席の由梨に言ってきた。
麻里絵の買い物と言えば、まだ由梨は覚えている、あの買い方である。
「あの、麻里絵さん、私自分で買いますから…」
それなりにこれまでコツコツ貯めた貯金はある。
「由梨ちゃん、私の楽しみを奪わないで。由梨ちゃんの赤ちゃんは、私の初孫なの」
「ですけど…」
「なにかせずにはいられないの。体が辛いのも、出産も変わることは出来ないでしょう?」
「確かにそうだよな、由梨。母さんと買ってきたら?」
貴哉に言われては、従うしかない。
検診には貴哉と共に中に入り、エコーを見せてもらう。
「順調ですね。性別は…聞きたいですか?」
由梨は貴哉の顔を窺った。
「わかるなら…」
「じゃあ、教えて下さい」
「うん。じゃあ、見てみるよ~、うまく見えるかな?」
プローブを動かして色んな角度から胎児を映す。
「こっちの子は…男の子、かな?もう一人は…うーん。隠してるなぁ…」
「男の子…」
由梨はぱあっと微笑んだ。
「男の子、嬉しい?」
「はい」
「俺は、由梨に似てる女の子が良かったけどな」
「どっちに似てもかわいい子が産まれるよ。紺野さん」
医師が、浮かれる夫婦に笑いながらそう言った。
いつものようにエコー写真をもらって外に出ると、
「ねぇ、あっちに赤ちゃんが並んでるのが見えるの。行ってみない?」
麻里絵に誘われて新生児室の前の窓を見る。
生まれたての赤ちゃんが並んでいて、とても可愛い。
そうして見ていると、NICUの方から医師が歩いてきた。
「あ…」
由梨はその医師を見て声を上げた。
「やっぱり、由梨だった」
笑みを向けるのは渉だった。
渉は側にいる麻里絵と貴哉に会釈をする。
「もしかして、小児科を選んだの?」
「そう、いつか自分の病院をもって由梨に支えて貰うつもりだったけど…。うん、完全に振られた気分だよ」
渉は苦笑している。
「お前が由梨と別れたのが悪いな。自業自得だ」
「そうだな、うん。その通り、反論の余地もない」
くくっと笑うと
「由梨の出産の時は俺も小児科ドクターとして立ち合う予定だから、よろしく」
「え、そうなの?」
「まぁ、これでも日々医者としては成長してるから安心して」
「あ、そうか。カルテ見たんだ」
「そういうこと」
「では、紺野さん。出産まで、頑張って」
渉はお辞儀をすると、足早に立ち去っていく。
「あの、お医者さん由梨ちゃんの元カレ?」
「…気にくわないけどな」
「あらあら…」
麻里絵は楽しそうに笑いながら、貴哉と渉を見比べている。
「彼の方が由梨ちゃんと親しく見えちゃうわね」
「…比べなくていい」
確かに、相変わらず貴哉には敬語だけれど、渉には普通に話してる。どうしてもそうなってしまうのだ…。