まさか…結婚サギ?
麻里絵の買い物。
つまり、百貨店のVIPルームに行くと、前にも会った結城さんと本田さんが待ち構えていて、そこには由梨の為の品揃えがされていた。
「紺野さま、ご子息のご結婚おめでとうございます」
結城さんが折り目正しくお辞儀をして出迎えてくれた。
マタニティ服と、下着類。それに、ヒールの低い靴たちが並んでいたし、母子手帳ケースからベビーベッドと、ベビーカー、チャイルドシート、それに哺乳瓶などなど、美しく配置されていた。
「少し早いかとは思いましたが、参考までに揃えさせて頂きました」
結城さんがベビー用品を手で示して言った。
「まずは由梨ちゃんの服からね、双子だとお腹も大きくなるから絶対に要るわよ」
本田さんがここは前に出て来て、
「こちらのワンピースは産後も授乳服としての機能もありますからとてもおすすめなんですよ」
と服の一部にファスナーが隠されているのをみせてくれた。
他にもフリルのしたに授乳口があったりしてとても便利そうだ。
亜弥も買っていた、お腹が伸びるようになっているスカートやズボンもあった。
「じゃあ、その辺り由梨ちゃんに似合いそう。お願いするわ。靴も、いいわねそっちの服と、それと合いそう」
さくさくと本田さんと麻里絵が由梨に合わせながら選んでいく。
「あと、こちらのお着物は産後にお宮参りや七五三に活躍すると思いますよ」
まだ反物のそれはマネキンに着せてあった。
「あら、素敵ね」
淡いクリーム色の訪問着である。柄もおとなしめで同系色の金の帯が綺麗だった。
「仕立てておいてもらおうかしら?」
本田さんが由梨のサイズを計り書き込んでゆく。
いったいいくら使っているのか…。値札が全くわからず由梨は、心臓がバクバクしてしまう。
「結城さん、赤ちゃんは双子みたいなの。またどういう準備が必要かお願いできる?」
「それは素晴らしいですね、とても賑やかになりそうです」
「そうでしょう?」
麻里絵は立って、ベビーカーやベビーベッドを見る。
「あら、お人形」
麻里絵が抱き上げたのはリアルな赤ちゃんの人形だ。
由梨も麻里絵の横について、その人形をみつめた。
「赤ちゃんが生まれると、こんなにたくさん要るんですね」
「由梨ちゃんは双子だと、多分その倍ね」
「そうですよね…。毎日、おむつも、服もミルクも…」
「幸い、私も、美香子さんも元気だから、たくさん甘えてちょうだい。子育ては大変な事がたくさんあるんだから、せっかく甘えるところがあるんだもの。甘えておきなさいね」
「ありがとう、ございます」
優しい人だと、由梨はじんとしてしまう。
「ありがとう、結城さん、本田さん。またよろしくお願いするわね」
外に出ると、従業員に揃ってお辞儀されて由梨は、麻里絵に続いて歩いた。
その日の帰宅して間もなく、由梨のマタニティー服たちは自宅まで届けられた。
「ただいま」
「おかえりなさい、貴哉さん」
夜に帰宅した貴哉はそのまだ片付いていない買い物の量を見て、
「足りなかったら、俺に言えよ?」
と、優しくポンポンと頭を撫でた。
(買いすぎとか、思わないのかな…)
最近、分かったことであるが、貴哉は由梨にはとても優しいが、他人にはとても冷たい。しかし、仕事や由梨の絡む人々には別。だということだ。
嬉しいようで、でも、甘やかされ過ぎて駄目になりそうで不安だなんて贅沢が過ぎる。
つまり、百貨店のVIPルームに行くと、前にも会った結城さんと本田さんが待ち構えていて、そこには由梨の為の品揃えがされていた。
「紺野さま、ご子息のご結婚おめでとうございます」
結城さんが折り目正しくお辞儀をして出迎えてくれた。
マタニティ服と、下着類。それに、ヒールの低い靴たちが並んでいたし、母子手帳ケースからベビーベッドと、ベビーカー、チャイルドシート、それに哺乳瓶などなど、美しく配置されていた。
「少し早いかとは思いましたが、参考までに揃えさせて頂きました」
結城さんがベビー用品を手で示して言った。
「まずは由梨ちゃんの服からね、双子だとお腹も大きくなるから絶対に要るわよ」
本田さんがここは前に出て来て、
「こちらのワンピースは産後も授乳服としての機能もありますからとてもおすすめなんですよ」
と服の一部にファスナーが隠されているのをみせてくれた。
他にもフリルのしたに授乳口があったりしてとても便利そうだ。
亜弥も買っていた、お腹が伸びるようになっているスカートやズボンもあった。
「じゃあ、その辺り由梨ちゃんに似合いそう。お願いするわ。靴も、いいわねそっちの服と、それと合いそう」
さくさくと本田さんと麻里絵が由梨に合わせながら選んでいく。
「あと、こちらのお着物は産後にお宮参りや七五三に活躍すると思いますよ」
まだ反物のそれはマネキンに着せてあった。
「あら、素敵ね」
淡いクリーム色の訪問着である。柄もおとなしめで同系色の金の帯が綺麗だった。
「仕立てておいてもらおうかしら?」
本田さんが由梨のサイズを計り書き込んでゆく。
いったいいくら使っているのか…。値札が全くわからず由梨は、心臓がバクバクしてしまう。
「結城さん、赤ちゃんは双子みたいなの。またどういう準備が必要かお願いできる?」
「それは素晴らしいですね、とても賑やかになりそうです」
「そうでしょう?」
麻里絵は立って、ベビーカーやベビーベッドを見る。
「あら、お人形」
麻里絵が抱き上げたのはリアルな赤ちゃんの人形だ。
由梨も麻里絵の横について、その人形をみつめた。
「赤ちゃんが生まれると、こんなにたくさん要るんですね」
「由梨ちゃんは双子だと、多分その倍ね」
「そうですよね…。毎日、おむつも、服もミルクも…」
「幸い、私も、美香子さんも元気だから、たくさん甘えてちょうだい。子育ては大変な事がたくさんあるんだから、せっかく甘えるところがあるんだもの。甘えておきなさいね」
「ありがとう、ございます」
優しい人だと、由梨はじんとしてしまう。
「ありがとう、結城さん、本田さん。またよろしくお願いするわね」
外に出ると、従業員に揃ってお辞儀されて由梨は、麻里絵に続いて歩いた。
その日の帰宅して間もなく、由梨のマタニティー服たちは自宅まで届けられた。
「ただいま」
「おかえりなさい、貴哉さん」
夜に帰宅した貴哉はそのまだ片付いていない買い物の量を見て、
「足りなかったら、俺に言えよ?」
と、優しくポンポンと頭を撫でた。
(買いすぎとか、思わないのかな…)
最近、分かったことであるが、貴哉は由梨にはとても優しいが、他人にはとても冷たい。しかし、仕事や由梨の絡む人々には別。だということだ。
嬉しいようで、でも、甘やかされ過ぎて駄目になりそうで不安だなんて贅沢が過ぎる。