まさか…結婚サギ?
貴哉's office ⑥
金曜の夜、宝生の営業課は揃って洒落た居酒屋に向かっていた。
それというのも貴哉の結婚を祝う会である。
この日は、貴哉の奥さんの由梨も来ることになっていて、迎えに行ってから来るらしい。
「由梨ちゃんが来るなら夏菜ちゃんも呼ぼう!」
と慎一が言い出し、由梨の元同僚である、夏菜子とそれから、結愛も飛び入り参加することになっていた。
由梨を伴って店に入ってきた貴哉は、労るようにエスコートするかのように手を添えている。
(相変わらず、由梨ちゃんには優しいみたいだなぁ)
ワンピースとカーディガンという清楚なスタイルの由梨は、可愛らしさとそして、何とも言えない綺麗さが混じりあい、輝いてみえた。
「水川さんに、梅崎さんも!」
由梨は嬉しそうな声を上げた。
「花村ちゃん~ひさしぶり!あ、もう違うんだったね」
「お腹大きくなったね」
「そうなんです、でもまだまだ大きくなるみたいで」
「双子みたい」
「あ、そうなんです。双子なんですよ」
(なんと、双子とは!)
「では、紺野、由梨さん、結婚おめでとう」
黒川の合図で宴席が始まる。
由梨の指にはキラリと光る指輪が2つ並べて嵌まっていた。
「それ、どこの?」
珠稀が興味ありそうに由梨に寄っていった。
由梨が言ったのは、有名なジュエリーメーカーだった。
「やっぱり!紺野くん、頑張ったんだね」
「みたいです」
由梨はこそっと小さく言った。
すっかり男女に別れて座ってしまったが、独り身の女の関心は、やはり既婚者の話が聞きたいのである。
「で、紺野くんは家ではどうなの?」
優菜は興味本意で聞いてみた。
「すごく、よく調べるんですよ。だから、ものすごく過保護で外に一人で出掛けられないんですよ」
「へぇ~」
「あ、でも。デートとかも、事前にしっかりとリサーチしそう。仕事でもそうだし」
珠稀が納得したように、頷いた
「それだと、意外に育児も調べてしそうじゃない?」
結愛がそういうと、
「えー?そうなると、仕事は鬼だけど、嫁だけには優しくてイクメンとかなると、いい男になっちゃうでしょ?」
優菜がそう言うと夏菜子と結愛が笑った。
「じゃあ…良かったんですよね?私…」
「ん?」
「なんだか、あれよあれよという間にこうなって、嫌じゃないんですけど…。なんというか…流れに流されてって感じで…。貴哉さんはどうして、結婚したかったのかなぁなんて」
由梨はほんわりと呟いている。
優菜はもう結婚した後だからと、素直な意見を言うことにした。
「それは由梨ちゃん、ヤツが時間のムダが嫌いなのと、それからこれは今だから言う憶測だけど、あの性格知って逃げ出さない自信ある?」
「性格って?」
「時々感じるでしょ?黒ーい黒ーい、ダークサイド」
「…あ、はい…」
「やつにロックオンされた時点で由梨ちゃんはもう囚われの身なのだ」
優菜の言葉に由梨はゾクっとしたのか腕を抱き締めている。
「囚われの…なんだか、理解した気がします」
「しかーし、ヤツから逃げ出そうとしない限りは、ダークサイドは現れないと思うよ?大人しく囚われておいた方が賢明。敵にまわすと恐ろしく怖いよ?」
だからこそ、優菜はこれまで由梨に忠告などの邪魔は一切しなかった…。もし、言って由梨が逃げ出そうとしていたらその報復が恐ろしい?
「肝に命じます…」
薄々、貴哉の黒さに気づいていたのか由梨は大人しくジュースを飲んで曖昧に微笑んだ。
「ま、ホラーな話はこの辺で」
「ホラーって」
珠稀がウケて笑っている。
「これ、私たちから由梨ちゃんへ」
「え、何ですか?」
「ガーゼケットにしたの。二枚にしてよかった」
優菜と珠稀からのプレゼントだ。
「嬉しいです、ありがとうございます」
由梨は開けていいですか?と言ってラッピングをほどいていく。
手触りのいい8重ガーゼケットはかけてもいいし、くるんでもいいと聞いた。それに夏は涼しくて冬は暖かいそうだ。白にベージュの水玉は、男女どちらでも使えると思って選んでいた。
それというのも貴哉の結婚を祝う会である。
この日は、貴哉の奥さんの由梨も来ることになっていて、迎えに行ってから来るらしい。
「由梨ちゃんが来るなら夏菜ちゃんも呼ぼう!」
と慎一が言い出し、由梨の元同僚である、夏菜子とそれから、結愛も飛び入り参加することになっていた。
由梨を伴って店に入ってきた貴哉は、労るようにエスコートするかのように手を添えている。
(相変わらず、由梨ちゃんには優しいみたいだなぁ)
ワンピースとカーディガンという清楚なスタイルの由梨は、可愛らしさとそして、何とも言えない綺麗さが混じりあい、輝いてみえた。
「水川さんに、梅崎さんも!」
由梨は嬉しそうな声を上げた。
「花村ちゃん~ひさしぶり!あ、もう違うんだったね」
「お腹大きくなったね」
「そうなんです、でもまだまだ大きくなるみたいで」
「双子みたい」
「あ、そうなんです。双子なんですよ」
(なんと、双子とは!)
「では、紺野、由梨さん、結婚おめでとう」
黒川の合図で宴席が始まる。
由梨の指にはキラリと光る指輪が2つ並べて嵌まっていた。
「それ、どこの?」
珠稀が興味ありそうに由梨に寄っていった。
由梨が言ったのは、有名なジュエリーメーカーだった。
「やっぱり!紺野くん、頑張ったんだね」
「みたいです」
由梨はこそっと小さく言った。
すっかり男女に別れて座ってしまったが、独り身の女の関心は、やはり既婚者の話が聞きたいのである。
「で、紺野くんは家ではどうなの?」
優菜は興味本意で聞いてみた。
「すごく、よく調べるんですよ。だから、ものすごく過保護で外に一人で出掛けられないんですよ」
「へぇ~」
「あ、でも。デートとかも、事前にしっかりとリサーチしそう。仕事でもそうだし」
珠稀が納得したように、頷いた
「それだと、意外に育児も調べてしそうじゃない?」
結愛がそういうと、
「えー?そうなると、仕事は鬼だけど、嫁だけには優しくてイクメンとかなると、いい男になっちゃうでしょ?」
優菜がそう言うと夏菜子と結愛が笑った。
「じゃあ…良かったんですよね?私…」
「ん?」
「なんだか、あれよあれよという間にこうなって、嫌じゃないんですけど…。なんというか…流れに流されてって感じで…。貴哉さんはどうして、結婚したかったのかなぁなんて」
由梨はほんわりと呟いている。
優菜はもう結婚した後だからと、素直な意見を言うことにした。
「それは由梨ちゃん、ヤツが時間のムダが嫌いなのと、それからこれは今だから言う憶測だけど、あの性格知って逃げ出さない自信ある?」
「性格って?」
「時々感じるでしょ?黒ーい黒ーい、ダークサイド」
「…あ、はい…」
「やつにロックオンされた時点で由梨ちゃんはもう囚われの身なのだ」
優菜の言葉に由梨はゾクっとしたのか腕を抱き締めている。
「囚われの…なんだか、理解した気がします」
「しかーし、ヤツから逃げ出そうとしない限りは、ダークサイドは現れないと思うよ?大人しく囚われておいた方が賢明。敵にまわすと恐ろしく怖いよ?」
だからこそ、優菜はこれまで由梨に忠告などの邪魔は一切しなかった…。もし、言って由梨が逃げ出そうとしていたらその報復が恐ろしい?
「肝に命じます…」
薄々、貴哉の黒さに気づいていたのか由梨は大人しくジュースを飲んで曖昧に微笑んだ。
「ま、ホラーな話はこの辺で」
「ホラーって」
珠稀がウケて笑っている。
「これ、私たちから由梨ちゃんへ」
「え、何ですか?」
「ガーゼケットにしたの。二枚にしてよかった」
優菜と珠稀からのプレゼントだ。
「嬉しいです、ありがとうございます」
由梨は開けていいですか?と言ってラッピングをほどいていく。
手触りのいい8重ガーゼケットはかけてもいいし、くるんでもいいと聞いた。それに夏は涼しくて冬は暖かいそうだ。白にベージュの水玉は、男女どちらでも使えると思って選んでいた。