【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
朝食を終えると、運転手の佐野が尋ねてくる。
「お嬢様、今日の送迎は…」
「大丈夫。いらないわ」
私が即座に断ると、ママがクスクス笑う。
「やだもう。佐野さん、天気のいい日はべつに聞いてくれなくて大丈夫なのよ。
どうせこの子歩いて行くって言うんだから」
「いやまぁ、しかしですねぇ…」
私も仕事ですから…とでも言いたげな佐野を前に、かーくんが答える。
「大丈夫です。梨々香お嬢様は私が責任を持って学校までお送りいたします」
「あらまぁ、神楽ったら頼もしいわぁ。
神楽がいれば安心よね」
なんて、実はこれはもう、毎日のやり取りで。
私は学校まで送迎とかしてもらうのがあまり好きじゃないから、大体断っちゃうんだ。
佐野には悪いけど、台風とか体調不良の時以外は車で行かない。
かわりにかーくんと一緒に電車に乗って登校してる。