【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
なんて考えてたら。
「……ん?なんか香ばしい匂いする」
急に何かを焦がしたような匂いが漂ってきて。
「あ、たしかに。
というか、焦げ臭い?」
二階堂くんもそう思ったみたい。
慌てて辺りをキョロキョロと確認する。
だけど、テーブルの上の鴨鍋は、下の固形燃料に火がついて入るものの、特に倒れたり変なものを燃やしている様子でもない。
それを見て、おそらくこの部屋ではない別の場所からの匂いだと思った。
まさか、火事……なわけないよね?
「変な匂いするけど大丈夫かな?」
「別の部屋じゃない?大丈夫じゃないかな」
だけど、その匂いはどんどん強くなってくる。
明らかに、変。
「ちょっと私、部屋の外見てこようか?」
思わず振袖姿のままバッと立ち上がる。
するとその時、隣の部屋から大声がした。
「どわぁぁぁ!火だ!火が!!
逃げろおぉッ!!」
…えぇっ、火!?
同時にドタバタと足音が聞こえる。