【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
さっきまでとはまるで違って、急に弱々しい子供のようになってしまった彼に少しビックリする。
だけど、カバンを置いて逃げるわけにもいかない感じだったので、私はテーブルに置いてあったコップの水を、とっさに彼のカバンにぶっかけた。
ーーバシャッ!
そして、火が消えたそのカバンを、しゃがんで怯える二階堂くんに手渡す。
「ほらっ!もう大丈夫だから、これ持って逃げて!」
そしたら彼はそれを受け取るやいなや、
「わーっ!!ママッ!!
助けて〜〜っ!!」
そう叫びながら、私をバンッと勢いよく突き飛ばすと、そのまま立ち上がって走って逃げていった。
「きゃっ!!」
ーーガターンッ!!
思わず尻餅をついて、そばにあった大きな棚にぶつかり、それを倒してしまう。
「……いったぁ〜」
いくら慌ててたとはいえ、まさか突き飛ばされるとは思わなくて、ちょっと泣きそうになった。
ひどいよ、二階堂くん。
しかも自分だけ先に逃げるとか……。