【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜

足も使って必死で持ち上げようと頑張る。


だけど、思った以上に重たい棚だったらしく、やっぱりそう簡単には持ち上がらなかった。



こうなったら……。



仕方なく、着物ごと脱ごうと思い、帯に手をやる。


だけど、



「…え、あれ…?なにこれ。

どこがどうなってるの?」



右手しかうまく使えないため、うまく脱げない。


自分で着付けたわけじゃないから帯がどう結ばれてるかもよくわからないし、軽く絶望しそうになった。



火は畳を燃やしながらどんどん私の近くまできている。


それ以上に煙がすごいので、だんだんと息苦しくなってきた。



それにしても、どうして誰も来ないんだろう。



入口の方からは、人が大騒ぎする声が聞こえる。


火事でみんなパニックになってるみたい。



もしかして、他のみんなは全員逃げたから、私が残ってることに気付いてない?


そうだったらこのまま私、どうなっちゃうんだろう。



今までにない恐怖と不安に襲われて、ますます泣きそうになった。


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