【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
◇お前のことが大事だから
だんだんと強くなる炎と煙の中で、意識が薄れていく。
あきらめたら終わりだって分かってるのに、体が思うように動かなかった。
「…はぁ、はぁっ」
畳に寝そべるようにして、必死で少ない酸素を吸い込む。
思わず本気でもうダメかもしれないなんて考えてしまう。
自分は体力には自信があって、こういう時も自分の力で切り抜けられるタイプだと思ってたのに、いざとなると何もできない。
結局はいつだって危ない目にあうばかりで、そのたびに誰かに助けてもらって…。
我ながら情けなくてたまらなかった。
あぁ、せめてこんな格好で来なければなぁ。
すぐに逃げることができたはずなのに。