【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
店の外に出ると、野次馬も含め、人が大勢集まって来ていて、かなりざわざわとしてきた。
消防車や救急車のサイレンの音も聞こえる。
かーくんは私を近くのコンクリートの段の上に下ろすと、そっと横に寝かせてくれた。
「すぐ救急車来るからな。そしたら病院に…」
だけど私はなんだか、外に出たら急に元気になってきたみたいで。
「だ、大丈夫だよ、救急車なんて…。
ほらもう元気…っ」
ゆっくりと体を起こして座ったら、かーくんは心配そうに眉をひそめた。
「…っバカお前、無理すんなよ」
「無理してないよ」
だけどまだ少し、手が震えてる。
だって本当に怖かったから。
さっきは本当にもうダメかもしれないって思った。
かーくんが来てくれなかったら私、どうなってたんだろう。
ーーバサッ。
すると、かーくんは自分のスーツのジャケットを脱いで、私の肩にかけてくれて。
そのまま私を抱き寄せると、ぎゅっと腕の中に閉じ込めた。
……どきん。
「…はぁ。
でも、りぃが無事で良かった……」