【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
大喜びする小雪ちゃんを見て、手に持った手提げ袋の紐を、ぎゅっと握りしめる。
ほらね。やっぱり私のクッキーなんていらないじゃん…。
べつにかーくんにあげようと思って作ったわけでもないのに、さっきまであげなくていいなんて思ってたのに、ひどくガッカリしている自分がいる。
まるで、先を越されたみたいな気分。
急にその場にいるのが辛くなって、思わず昇降口から外に出てしまった。
「…はぁ」
もう、このまま一人で帰っちゃおうかな。
かーくんのこと迎えに来なければよかった。
そしたら今のやり取りも見なくて済んだのに…。
それにしてもどうして私、またこんなにショック受けてるのかな。
自分で自分がよくわからない。
今まで、かーくんのことで、こんなに心をかき乱されたことなんてなかったのに。
かーくんが女の子と話してても、モヤモヤしたことなんてなかったのに。
これじゃまるで、小雪ちゃんにヤキモチ妬いてるみたいだ。
かーくんが他の女の子と仲良くしてるのが嫌だって思っちゃうなんて。
本当に私、どうかしてるよ…。
「…あれ?りぃ?」