【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
するとその時、背後から聞き覚えのある声がして。
ハッとして振り返ったら、カバンを持ったかーくんが、すぐそばに立っていた。
いつの間に…。
隣に小雪ちゃんはもういない。
「もう終わったの?」
そう問いかけられて、無言でコクリと頷く。
そしたらかーくんはいつものように、私のカバンを取り上げて、それから手提げ袋に目をやった。
「ん?なにそれ?」
あまり見られたくなかったのに。
「な、なんでもない…」
「…クッキー?調理実習でもやったの?」
だけどすぐに中身に気づかれてしまい、慌てて袋をバッと隠す。
「へ、下手くそだから、見ないでっ!」
明らかに不自然な態度を取ってしまう。
そしたらかーくんは不思議そうに首を傾げながら私の顔をじっと見た。
「なんでだよ。べつに気にしねぇよ」
「わ、私が気にするのっ!それに、かーくんにはあげないもんっ!」