【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
…あ、言っちゃった。
これじゃまるで八つ当たりしてるみたい。最悪だよ。
「はぁ?」
間の抜けたような声を出すかーくん。
するとそこに、タイミングよくひょっこり現れた人物が。
「おや、どうされました?ケンカですか?」
振り返ると、紫苑がキョトンとした顔で、私たちを交互に見ながら立っていた。
「あ、紫苑…」
「ゲッ」
「『ゲッ』とは聞き捨てなりませんね。神楽」
紫苑はそう言いながら私のすぐそばまで来ると、手提げ袋を覗き込む。
「おっ、なんかいい香りがするなと思えば、クッキーですか?」
「あ、うん」
「美味しそうですね。あとでひとつ味見してもいいですか?」