【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
◆帰り道の恐怖
その日の朝のSHRは、いつもより先生の話が長かった。
なにやら大事な話があるとかで…
「えー、みんなに聞いてもらいたいことがある。
実は最近変な事件が相次いでいてな」
変な事件…?
「噂で聞いた者もいるかもしれないが、うちの生徒がすでに何人か被害に遭っている」
「えぇっ…」
「なになに?」
とたんにクラス全体がざわつく。
「わが青蘭学園の生徒を狙ってイタズラをする人物がいるらしい。
昨日もある女子生徒が、迎えの車を待っていたところ、後ろから何者かにスカートを切りつけられた。
その前にも塾帰りの女子生徒二人がスカーフやカバンを切りつけられた」
ウソ、なにそれ。怖い…。
「今のところケガ人は出ていないが、犯人はナイフを所持しているらしく、しかも逃げ足が早いため捕まっていない。
みんなも登下校時には細心の注意を払ってくれ。
執事科に専属の男子生徒がいたら必ず一緒に行動すること。絶対に一人にならないこと。
いいな?」
先生の話にクラスのみんなが無言で頷く。
なごやかだった教室が、一気に不安と恐怖で包まれた瞬間だった。