【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
どうやら私を、あの人のいやらしい視線から守ろうとしてくれたみたい。
やっぱりすごい…かーくんは。
本当に頼りになるなぁ。
いつだって、私のピンチにすぐ気がついて、守ってくれる。
今のだって、かーくんに言われなかったら本気で変だとは思わなかったと思うし、やっぱり私は警戒心が少し足りないのかもしれない。
今日先生からあんな話があったばかりなのに。
もしかしたら、あの男の人が犯人だっていう可能性も無くはないのに。
全然気をつけてなかった…。
「あ、ありがとう。かーくん…」
思わずしがみつくように、かーくんのベストを片手でぎゅっと握る。
なんだかすごくドキドキしたけど、安心した。
かーくんにくっついてると、妙に落ち着くんだ。
この人になら身を任せていいと思ってしまう。
混み合った車内の圧迫感も、ざわめきも、あの男の人の視線も、急に気にならなくなる。
かわりに彼の心音だけが、耳に心地よく響いていた。
だけどなんだろう。少し…
かーくんまで鼓動が早いような気がするのは、気のせいかな…?