【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜

どうやら私を、あの人のいやらしい視線から守ろうとしてくれたみたい。



やっぱりすごい…かーくんは。


本当に頼りになるなぁ。


いつだって、私のピンチにすぐ気がついて、守ってくれる。



今のだって、かーくんに言われなかったら本気で変だとは思わなかったと思うし、やっぱり私は警戒心が少し足りないのかもしれない。


今日先生からあんな話があったばかりなのに。


もしかしたら、あの男の人が犯人だっていう可能性も無くはないのに。


全然気をつけてなかった…。



「あ、ありがとう。かーくん…」



思わずしがみつくように、かーくんのベストを片手でぎゅっと握る。


なんだかすごくドキドキしたけど、安心した。



かーくんにくっついてると、妙に落ち着くんだ。


この人になら身を任せていいと思ってしまう。



混み合った車内の圧迫感も、ざわめきも、あの男の人の視線も、急に気にならなくなる。


かわりに彼の心音だけが、耳に心地よく響いていた。



だけどなんだろう。少し…


かーくんまで鼓動が早いような気がするのは、気のせいかな…?


< 193 / 336 >

この作品をシェア

pagetop