【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
しばらくそのまま駅まで歩いていたら、いつも通る階段に差し掛かった。
だけど階段の前には一人のおばあさんが立っていて、なにやら上りづらそうにしてる。
大きい荷物を抱えてるから、そのせいかな。
手伝ってあげようかな。
そう思っていたら、私より一足先に、かーくんが気付いて駆け寄って行った。
「大丈夫ですか?荷物、持ちますよ」
「あらまぁ、お兄さん優しいねぇ。すまないねぇ」
「いえいえ」
荷物を片手に持ち、おばあさんの腰を支えてあげるその様子はまさに紳士。
さすが、かーくんだなぁって思った。
こう言う時にササッと動けるのも偉いな。
だけどそれを感心しながら後ろで見ていたら、ふと誰かに声をかけられた。
「あのー、ちょっとすみません…」
振り返ってみると、ニット帽をかぶってマスクをした女の人の姿が。
背が高くて、わりとガッチリしていて、風邪をひいているのか声が少しかすれている。