【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
そして私の口を片手で押さえつけたかと思えば、カバンのポケットから何か鋭いものを取り出した。
えっ…。これは、まさか、ナイフ…?
やだっ…。じゃあもしかして……この男が、切り裂き魔だったの!?
どうしよう!!
「フフフ…たまんねぇな〜その顔」
男はナイフを持ちながら、怯える私を見て、ニヤリと笑う。
私はとたんに身体中がブルブルと震えてきて、今更のように、かーくんから離れたことを激しく後悔した。
ダメだってわかってたはずなのに。あんなに気をつけろって言われてたのに。
私の警戒心が足りないばっかりに…。
どうしたらいいの。怖いよ…。
「ん〜っ!ん〜っ!」
必死で声を出すけれど、口を押さえられているため喋れない。
助けを呼ぶことも、逃げることもできない絶望的な状況に、思わず涙が出てきた。