【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
「…はぁ。くそ、こいつが切り裂き魔かよ。
まさか女装してたとはな」
「うん。私もビックリした。
だから最初気づかなくて…」
「ったく、よく今まで捕まらなかったよな。堂々と昼間からこんなことして。
すぐ警察に突き出してやる。電話するからちょっと待ってろよ」
「うん」
かーくんはそう言うと、ポケットから自分のスマホを取り出す。
そしてさっそく110番してくれた。
「もしもし…四つ葉町にて、男が青蘭学園の女子生徒を襲う現場を目撃しました。
犯人を取り押さえたんですが…はい…」
しゃがんだまま電話するかーくんと、伸びた犯人を目の前に、立ち尽くす私。
なんだかホッとしたら急に気が抜けてしまった。
切られたスカートの裾をぎゅっと押さえる。
目まぐるしすぎて、今起きた出来事が本当だったのかなと疑いたくなるくらいに、現実味が湧かない。
「あ、いや、本当です。実際同級生の女子生徒か被害に遭っています。
現場の住所は四つ葉町一丁目あたりで…」