【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
……………。
鈍い音と共に、二の腕に強い痛みが走る。
切れたセーラー服の袖から、じわじわと真っ赤な血の色が浮かびあがった。
「……はぁ、はぁっ」
私……切られたの?今…。
男はナイフを手に持ったまま、思いのほかうろたえている。
「えっ、ま……まじかよ…っ」
私は心臓をバクバクいわせながらも、体を起こしてかーくんを見る。
すると彼は、言葉を失ったように固まっていた。
だけど、無傷だ。
……よかった。
私は自分が切られたことよりも、ただ彼が無事でよかったと思った。
だけどそう思った瞬間、力が抜けて…。
「…っ」
フラッと倒れ込んだまま、意識が途切れた。
真っ暗な世界で、かーくんの声がこだまする。
『りぃっ!!りぃっ!!!!』
……ねぇ、私、かーくんを守ったよ。
いつも守ってもらってばかりだったけど。
かーくんが切られなくて良かった。
無事で良かった。本当に…。
.
*
.