【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
特別科の校舎の昇降口から出てきたりぃと紫苑の姿を見つけ、カイが声をあげた。
「……えっ、なんで?お前が迎えに行くんじゃねぇの?
隣にいるのあれ、お前の従兄弟…」
そう言われて、カイにはもう言うしかないなと思う。
「そうだよ。紫苑に交代したから」
「へっ!?」
「俺はもう、梨々香お嬢様の執事はクビになった。
だからもう送り迎えも、俺の仕事じゃない」
「……はっ?」
俺の言ったことが信じられないのか、カイはそのまま数秒固まる。
そして、次の瞬間大声で叫びだした。
「はあぁぁぁ!!!?きいてねーよ!!
なんだそれ!?ありえねぇ!!
一体何をどうしたらそうなるわけ!?」
「まぁ、いろいろあんだよ」
「いろいろって…えっ、ちょい待てよ!
お前がクビになるんだったら、俺なんかもう何回クビになってるかわかんねーよ!
だってお前ほど優秀な奴いないじゃねーかよ!西園寺家ってどうなってんの!?」