【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
俺より10メートルくらい先に、紫苑とりぃが二人並んで歩いていた。
りぃはあの事件があってから、兼人おじさんに徒歩通学禁止を言い渡され、今日から車送迎だ。
昨日はケガのため学校を一日休んでる。
だから今日が紫苑が専属執事になってから初の登校だった。
りぃが誰かと並んでいるのを遠くで見ている自分に、違和感を感じる。
本当なら俺が、そこにいたのになんて思う。
…そうだ。あそこにはいつも俺がいたんだ。
だけどもう、俺の居場所じゃない。
そう思うと苦しくて、胸が張り裂けそうになる。
この気持ちが報われないことくらい、最初からわかってた。
それでも、どんな形であれ、そばにいられたらいいと思ってた。
今はもう、それもかなわない。
何もない…。