【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
家に帰ると俺は執事服に着替えて、言われたとおりの雑用をせっせとこなした。
奥様に言われた書類整理、DMのシュレッダー作業、紫苑に頼まれてる花の水やり。
しまいにはスーパーへの買い出しまで。
どれも一人で黙々とやれるし、べつに苦ではなかった。
帰りにコンビニの前を通ったら、この前りぃが食べたいと言っていたチョコまんの旗が立っていた。
それを見てふと、買っていこうかなんて思う。
前にこっそりりぃに、チーズまんを買っていってやったときは、すごく喜んでいた。
幸せそうな顔で食べていたのを覚えている。
俺はりぃを甘やかさないつもりだったけれど、なんだかんだ言うことを聞いていたような気がする。
今だって、チョコまん買おうかなんて考えて…ほんとにバカだな。
そんなことしてもまた、りぃの体重が増えるだけだ。
紫苑はりぃに甘いから、今日も好きなだけ甘いもの食ってんだろうし。
想像すると、少し顔がほころぶ。
だけど同時に切なくなる。
りぃの生活を、近くで見守れない自分がはがゆい。
未練がましくて嫌になって、足早にコンビニの前を通り過ぎた。