【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
嬉しいくせに恥ずかしくて、そんなふうに返したら、りぃは無邪気に笑う。
「えーっ、そんなことないよ〜。
かーくんの汗は汚くないよ、全然。
汗もしたたるいい男じゃん?」
「アホ」
「へへへっ」
こんなやり取りをしたのは、実は久しぶりかもしれない。
もうあれ以来、お互い目を合わせるたびに辛くて、ふざけ合うこともできなかった。
それでもりぃは、こんなふうに俺に笑ってくれる。
やっぱり、好きだって思う。
だけど、だからこそ、苦しい。
りぃと触れ合うたびに、よみがえるこの気持ちが、どうしようもなく俺を苦しめる。
忘れてしまえたらどんなにいいだろう。
いっそのこと、顔を合わせないほうが楽なんだろうか。
りぃは続けて話しかけてくる。
「あっ、そういえばね、さっき英語の長文の宿題やってたんだけど、すっごい難しくてね。
わかんないから、あとでかーくん教えてくれない?」
「えっ?」