【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
こんなふうに休日親父とゆっくり過ごすとか、いつ振りだろうと思う。
久しぶりに二人でまともに会話をした気がした。
だけど特に話題があるわけでもなく、盛り上がるわけでもなく。
でも男同士なんて、こんなもんかと思う。
「神楽」
だけどコーヒーを半分ほど飲み終えたところで、親父が俺の方を振り返った。
「梨々香お嬢様のことだけどな…」
…ドキッ。
「あんまり自分を責めるなよ」
まさか、親父からそのことを切り出されるとは思わず驚いた。
今までほとんど触れてこなかったのに。
なんだよ…。親父も一応俺が落ち込んでること気にしてたのかよ。
「今は社長も気が立ってるんだ。ほとぼりが冷めるまで待つしかない」
そう言われて、兼仁おじさんが俺を許してくれる日なんて来るのかよと思ったけれど、親父なりに俺を励まそうとしてくれてることだけはわかった。
「それに、お前は今まで精一杯やってきた。
そのことは誇りに思っていい」