【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
荷物の用意を終えて私服に着替えたら、机の中から適当なレターセットを取り出して、置き手紙を書いた。
少しごめんねって気持ちもあったけれど。
もちろん、紫苑とかママには悪いなって思うし、みんなに迷惑かけることはわかってる。
だけど、パパに分かってもらうにはこうするしかないから。
自分の意志で家出したってわかるように、簡潔にメッセージを残して、ドレッサーの上にその手紙を置いた。
下に落ちたり飛ばされて気付かれなかったら困るから、何か上に重りを置いておこうかな。
なんとなくドレッサーの引き出しを開ける。
するとその中に、ちょうどいいサイズの白い石がひとつ入っていた。
…これでいいや。
手に取って、手紙の上に乗せる。
だけど、なんだろう、これ。
少し懐かしいような……。
そうだ。これは確か、あの時かーくんが一生懸命探して見つけてくれた……。