【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
ふいに幼いころの記憶が甦ってきて、少しだけ切なくなった。
あの時行った公園、どこにあったかな。
私ったらこの石、ずっと大事にとってたんだ。
忘れてた。
懐かしいなぁ…。
思わずその場でぼんやりと眺めてしまう。
だけど、あまりゆっくりしてると、誰かがまた部屋を訪ねてくるかもしれないと思い、急ぐことにした。
リュックを背負って、窓の前に立つ。
スマホの電源を切って、カーテンを開け、窓を開けて…。
クローゼットに閉まってあったおろしたてのスニーカーを履いて。
――タンッ!
私は窓から飛び降りた。
そう。これは、はじめての家出――。