【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
奥様にそう言われて、紫苑がりぃの部屋へと起こしに行く。
俺はその間、テーブルの上を拭いたり食器を並べたりして、引き続き準備を手伝っていた。
だけど…
――ダダダダダッ!!
急にものすごい勢いで誰かが階段を駆け下りてくる音がして。
何かと思って見たら、紫苑が顔を真っ青にしてこっちへ走ってきた。
りぃの姿はない。
…なんだ?
嫌な予感がする。
紫苑は息をハァハァ言わせながら、手に持った紙をこちらへ見せる。
「…っ、奥様、神楽、大変です!!」
「…どうした?」
「り、梨々香お嬢様が……っ、家出しました!!」
「はぁっ!!!?」
「えぇっ!!!?」
信じがたい紫苑の言葉にギョッとして、思わず奥様と目を見合わせる。
りぃが家出!?まさか…。
だって今日、貧血で倒れて寝てたはずじゃ…。
「…っ、ウソだろ!?ちょっと貸せよ!!」