【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
慌てて紫苑が持ってた紙を奪い取る。
するとそれは便箋で、そこにはりぃの字でメッセージが書かれていた。
「…パパへ。そしてみんなへ……」
読みながら、どんどん鼓動が早くなってくる。
ウソだろ。信じらんねぇ…。
本気かよ。
だけど、それは冗談でもなく、本当にりぃの字で書かれた、家出の意志を伝える手紙だった。
「りぃ…っ」
思わず胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
と、同時にりぃのことが心配でたまらなくなった。
りぃは今までほとんど一人で出かけたことがない。
というか、兼仁おじさんがそれを許さなかったから、基本的には俺か、他の誰かがいつもそばにいたんだ。
そんなりぃが一人で家出とか……大丈夫なのかよ。
いや、大丈夫なわけがねぇ。
もしかして俺があの時、あんなこと言ったから…そのせいか?