【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜

慌てて紫苑が持ってた紙を奪い取る。


するとそれは便箋で、そこにはりぃの字でメッセージが書かれていた。



「…パパへ。そしてみんなへ……」



読みながら、どんどん鼓動が早くなってくる。



ウソだろ。信じらんねぇ…。


本気かよ。



だけど、それは冗談でもなく、本当にりぃの字で書かれた、家出の意志を伝える手紙だった。



「りぃ…っ」



思わず胸の奥がぎゅっと締め付けられる。


と、同時にりぃのことが心配でたまらなくなった。



りぃは今までほとんど一人で出かけたことがない。


というか、兼仁おじさんがそれを許さなかったから、基本的には俺か、他の誰かがいつもそばにいたんだ。


そんなりぃが一人で家出とか……大丈夫なのかよ。


いや、大丈夫なわけがねぇ。



もしかして俺があの時、あんなこと言ったから…そのせいか?


< 280 / 336 >

この作品をシェア

pagetop