【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
「神楽、ちょっと貸してくれる?」
すると、奥様が妙に冷静な表情で俺に手を差し出してきて。
すぐさま手紙を手渡したら、彼女はそれを読み終えると、静かに呟いた。
「……そう。パパに言わないとね」
それはまるでどこか、こうなることを予想していたかのような様子だった。
だけど、俺は居ても立っても居られない気持ちで。
「奥様、俺、探してきます!」
すぐさま駆けだしたら、紫苑も同じく「僕も!」と言ってついてきた。
ウソだろ。りぃが家出なんて。
そんなこと考えてもみなかった。
行くあてなんてあるのかよ?
何も考えずに勝手なことすんなよ。