【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜

その暴言とも取れるセリフに、その場がシンと静まり返る。



メイドも俺たち執事も、みんなが苦い顔をしてうつむいた。


だけどその瞬間、



――パチンッ!



と、手ではじくような音が響いて。



何かと思って顔を上げたら、なんと、普段温厚な奥様が、兼仁おじさんに派手にビンタをかましたところだった。



それを見て、みんな驚いたように目を丸くして固まる。


ますます場がシーンとなる。


ぶたれた兼仁おじさんも唖然としている。



「…あなた、八つ当たりも大概にしてください」



そう口にした奥様は、目に涙をためていた。



「わからないの?

梨々香が家出したのは、半分あなたのせいですよ」



「な、なんだと…!」


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