【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
◇かーくんじゃなきゃだめなの
【side梨々香】
「……はぁ」
公園のベンチの上で、ため息をつく。
目の前には大きな噴水。
だけど、夜だから誰もいない。
私はそこで一人ぽつんと途方に暮れていた。
勢いで家を出てきたのはいいけれど…これからどうしよう。
あのあと、急いで駅まで行って、電車に乗って、この公園の近くの駅で降りたんだ。
子供のころ、ママとか―くんと電車に乗ってきたことがある、この水無(みずなし)公園。
当時ママは運転ができなかったから、私が大きな公園に行きたいって言ったら、電車でわざわざここに連れてきてくれた。
でもママは電車の切符を買うのにも手間取っていて、しまいには駅で降りるとき切符を無くして、駅員さんを困らせてたんだっけ。
その時私は確か、この駅の名前を覚えたんだ。