【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
自分で決めて家を出てきたはずなのに、いざこうして一人になると、急に心細くなる。
だからと言って、戻る気はなかった。
だってパパに分かってもらうには、こうでもするしかないって思ったから。
今ごろみんな心配してるかな。
紫苑は、ママは、大丈夫かな。
かーくんは?
……かーくん。
いつもなら、こういう時は必ず、かーくんが私を見つけてくれた。
どんなピンチにだって、彼は必ず駆けつけてくれた。
かーくんがいなかったら本当に、今ごろ自分はどうなってたかわからないって思う。
――タッタッタッ。
その時ふと、向こうのほうから足音がして、人影が見えた。
誰かが走ってくる。
だけど、よく見たらそれはジョギングをしているジャージ姿のおじさんで。
思わずがっかりしてしまった。
……なんだ。