【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
そう言われてバッと本を隠す。
べつに俺がこんな本読んでたところでりぃはなんとも思わねぇだろうけど、なんとなく見られたくなかった。
「…まさか。ちょっと興味あるだけだよ」
「へぇー。かーくん頭いいもんね」
「それよりお前、早く服…」
「あっ、ちょっと待って!」
するとりぃはなにを思ったのかいきなり俺の正面に来ると、立て膝のまま俺の顔を手で押さえながら覗き込んできて。
「…っ、なんだよ」
その体勢がすでに色々まずい。
「まつ毛ついてる」
「は?まつ毛?」
「えーっとね……取れたっ!」
わざわざ俺の顔についてたらしいまつ毛を取ってくれた。
ただそれだけのこと。
なのに、俺の心拍数はやばいことになってる。
りぃがこんな格好してるせいで。
彼女は固まる俺を見て、きょとんとした顔で尋ねる。
「…ん?かーくんなんか顔赤いよ?
どうしたの?」
…いや、お前のせいだよ。
ったく、人の気も知らねぇで。
「き、気のせいだろ…」
「そお?」
りぃは俺の気持ちなんておそらく、1ミリも気付いてないだろう。
マイペースで鈍い彼女に、俺は何年も振り回されっぱなしだ。
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