【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
◆かーくんと私
――それから10年後…。
私は高校二年生になった。
「おはようございます、お嬢様。お着替えの時間でございます」
「お嬢様、今日のヘアスタイルはいかがいたしましょうか」
私、西園寺梨々香(さいおんじ りりか)の朝は忙しい。
メイドが二人も私の部屋にやってきて、着替えを手伝ってくれたり、髪をセットしてくれたりする。
まるでテレビに出る前の楽屋の芸能人みたい。
いたれりつくせりなのはいいけど、参っちゃう。
私の家は代々会社経営をしていて、現在うちのパパは国内大手西園寺グループの経営者だ。
土地もたくさん持ってて、大きなお屋敷みたいな家に住んでる。
いわゆるセレブにあたる家庭らしい。
そんな西園寺家の一人娘が私。
将来は御曹司と結婚、なんて言われてる。
だけど私は正直、全然そういうのに興味がない。
お嬢様って呼ばれるのも好きじゃないし、パーティーだって、バイオリンのお稽古だって好きじゃないし。
体を動かすほうが好き。
全然おしとやかじゃないし、たぶんパパやママが望んでた娘像には程遠いと思う。
それでも、そんな私をパパもママもすごく可愛がってくれている。
だから私はこの生活が少し窮屈ではあるけれど、べつに嫌いじゃない。