【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜

俺は一日でもりぃと離れたくねぇのに、りぃは別にそんなこと思わないんだろうな。


そう思うとすごく虚しくなる。



一方通行な気持ちは結局行き場がなくて、自分の中に押し込めるだけだ。



どんなに努力したところで、この距離は埋められない。


身分の違いなんて、どうにもできるわけがない。



分かっていても、どうしても、あきらめがつかなかった。



本棚に山のように並ぶ、経営学や経済学の本。


これらを学ぼうと思ったのも全部、りぃにふさわしい男になりたいと思ったから。


たくさん勉強して、立派になって、いつかりぃの親父に認めてもらえるようになりたい。


無謀だとは思うけれど、どこかでそんな願いをいまだに捨てられなかった。



二時間ほど本を読んでたら、だんだんと目が疲れてくる。


また少し熱が上がってきた気がしたので、もう一度横になった。



明日には治るのか?これ。


明日も一日寝てるとかマジ勘弁だな。



するとその時、



――ガチャッ。



急にノックもなくドアが開いて、俺はドキッとした。


…誰だ?


< 60 / 336 >

この作品をシェア

pagetop