【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
俺は一日でもりぃと離れたくねぇのに、りぃは別にそんなこと思わないんだろうな。
そう思うとすごく虚しくなる。
一方通行な気持ちは結局行き場がなくて、自分の中に押し込めるだけだ。
どんなに努力したところで、この距離は埋められない。
身分の違いなんて、どうにもできるわけがない。
分かっていても、どうしても、あきらめがつかなかった。
本棚に山のように並ぶ、経営学や経済学の本。
これらを学ぼうと思ったのも全部、りぃにふさわしい男になりたいと思ったから。
たくさん勉強して、立派になって、いつかりぃの親父に認めてもらえるようになりたい。
無謀だとは思うけれど、どこかでそんな願いをいまだに捨てられなかった。
二時間ほど本を読んでたら、だんだんと目が疲れてくる。
また少し熱が上がってきた気がしたので、もう一度横になった。
明日には治るのか?これ。
明日も一日寝てるとかマジ勘弁だな。
するとその時、
――ガチャッ。
急にノックもなくドアが開いて、俺はドキッとした。
…誰だ?