【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
溢れ出す感情をコントロールできなくて。
気が付いたら思いきりぎゅっと、りぃのことを抱きしめていた。
「…ちょっ、かーくん!?
ど、どうしたの…っ?」
もう無理だ。
愛しくて、どうしようもない。
「まだ熱が、あんだよ……」
「へっ?」
「体だるいんだよ」
言い訳にしてはめちゃくちゃなことを言って、ごまかしたけど。
「そ、そっかぁ…」
それで納得する彼女は、やっぱり鈍いのかもしれない。
「なぁ、りぃ…」
「ん?」
「しばらくこうしてていい?」
離したくない。今だけは。
すると、りぃはすぐに頷いて。
「…うん、いいよ。
そのかわり、早く元気になってね」
フフッと笑いながら、俺の背中に手を伸ばすと、ナデナデとさすってきた。
彼女の細い体を抱きしめながら思う。
やっぱり俺は、りぃが好きだ。
報われない恋だろうが、なんだろうが。
この気持ちは一生消える気がしない。
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