【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
着替えとヘアセットが終わると、今度はまた入れ替わりでノックの音がする。
ーーコンコン、
「はぁーい」
私がやる気のない返事をすると、ドアが開く。
そして一人の男が部屋に入ってきた。
黒い執事服に身を包んだ、すらっと背の高い美男子。
彼は私の専属執事兼ボディガードの篠崎神楽(しのざき かぐら)、17歳。
まだ執事としては見習いだけど、頭も良くて運動神経抜群でしっかり者の、デキる男。
「お嬢様、今日のスケジュールの確認でございます」
「はーい」
「まず学校が終わりましたらピアノのレッスン、そして5分休憩を挟みまして次に家庭教師による勉強指導、それから夕食前にマナー講座があります。それから…」
聞いてるとだんだんまた眠くなってくる。
なんだろうこの過密スケジュールは。
なんのために毎日こんなたくさんの予定をこなさなくちゃいけないんだろうと思う。
「ふわあぁぁ、」
だけど、そこで私が思わずあくびをしたら、神楽が一瞬話を止める。
そして、眉間にしわを寄せたかと思うと、いきなり低い声で呟いた。
「……おいりぃ、聞いてんのか」
そう。実はこれが彼の本性。