【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
…えっ。
聞き覚えのある声と共に、パシンと男の腕を掴む音がして。
ハッとして見上げたら、そこには体操服姿のかーくんが怖い顔をして立っていた。
…ウソ、かーくん。いつの間に。
もしかしてグラウンドから駆けつけてきてくれたの?
男はかーくんの姿を見ると、眉間にしわを寄せる。
「…は?なんだよお前。
一般人は邪魔しないでくんない?」
その態度は、相手が執事科の生徒だからか、まるでバカにしているかのような感じだった。
「手を離していただけませんか」
かーくんは丁寧に、でも怖い顔で告げる。
間に変な緊張が流れる。
すると男はため息をつきながらしぶしぶ手を離すと、私を指差しながら言った。
「あのなぁ、こいつが俺のキーホルダー壊したから話つけてるとこなんだよ。
てめぇは引っ込んでろ」
だけどかーくんはそんな男に動じることなく、すかさずぺこりと頭を下げる。
「そうですか。大変失礼致しました」
そして私を庇うように後ろに押しやると、男と私の間に入ってきた。
「…霧島(きりしま)様」