【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
…あれっ?
どうしたんだろう。急にすんなりあきらめちゃったけど。
そして、手に持ったキーケースからキーホルダーを外すと、マスコットの頭と一緒にポイッと下に投げ捨てる。
――バシンッ!
「クソッ、じゃあなっ!」
そのまま逃げるようにスタスタと去って行ってしまった。
えーっ……。
ポカンとしてその姿を見送る私。
何だったんだろう今のは……。
ふと、かーくんのほうを振り返る。
「な、なに今の…。
かーくん、なんであの人のこと知ってたの?」
私がそう尋ねたら、かーくんはサラッと答えた。
「あいつ、前にパーティーで一回だけ会ったことある」
えっ…。
すごい。一回会っただけで顔と名前覚えてたの?
「てか、話通せとか、パパにそんなこと言われてたんだ?」
ビックリだよ。
「…いや、べつに?」
「へっ!?」