【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
えっ…。なんでって。
「だって、振袖なんてめったに着れないからさ。
可愛いカッコしたら普通テンションあがるでしょ?」
「へぇ。そんなに今日楽しみなんだ」
「え?」
「お見合いって、本気かよ」
そう口にするかーくんの顔はなぜか少し悲しそう。
「…お、お見合いっていうか、ただ一緒に食事するだけよ。
まだ結婚とか付き合うとか何も決まってないから」
「でも相手、二階堂グループの御曹司なんだろ。
兼仁おじさんも気に入ってるみてーだし。
付き合おうって言われたらどうすんだよ。付き合うの?」
「なっ…」
まくしたてるように問い詰められて、思わず言葉に詰まる。
「そ、そんなのまだわかんないよ…っ」
そのまま私がうつむくと、かーくんは目の前までやってきて、私の後れ毛を手ですくいあげた。
「……はぁ。マジやってらんねぇ」
「えっ…?」