あの時君が伸ばした手は
「とにかく私は検索エンジンで検索される人になりたい。いい意味でね。」

いつも通りのふわっとした笑い方。

「そのためには今年中に色々と頑張っとかないと。」

小さなガッツポーズ。


「じゃあ私、帰るね。これから用事あるから。」


彼女は空になった紙コップをゴミ箱に捨て、トートバッグを肩に掛けた。


「じゃあね。」


僕は手を振って見送った。


まさかこれが最後になるとも知らずに。
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