宝物な君と
『いらっしゃいませ。』

「コーヒー。」

「オレもコーヒー!と、チーズケーキね!」

『かしこまりました。今日も瀬高さんはいらっしゃってないですけど。』

「知ってる~!じーさま今日は定期検診行ってるから。ここ、うちの会社のすぐ近くなんだよー。」

瀬高さんの孫と一緒にいつもいる彼は、服部さんの息子さんで秘書らしい。

服部さん、40代じゃなかったのね。

若く見えるわ。

あれから、この2人は何を思ったのか、毎日やってくる。

『今日はどういったご用件ですか、蒼空(そら)さん?』

最初、服部さんが2人になるからってことで、下の名前を教えてもらった。

「さんづけなんて、他人行儀だなぁ。呼び捨てでいーよ!」

軽い。

父親とは真逆だった。

話が進まないので、『蒼空くん。でいいですか?』と、妥協してみる。

いちお、お客さんだし。

不機嫌な人が一緒だから、早く帰ってほしいけど。
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