宝物な君と
『ん?』

振り向くと、真剣な顔の永久がいて。

「前に旦那の話になったとき、ひどいこと言っただろ。悪かった。ずっと謝りたかった。」

だから、次の日からずっと来てたの?

あれから気にしてくれてたのね。

今日の動物園も罪滅ぼしなのかな。

『もう気にしないで。忘れたから。永久も忘れて。』

「忘れねぇよ。あれはオレの汚点だ。紅を信用してなかったからって、口悪く責めた。かなり後悔してる。」

眉毛が下がってる。

しゅんとしたワンコみたい。

こんなにおっきいのに、頭を撫でたくなっちゃった。

『その気持ちだけでじゅうぶんよ。ありがとう。』

「じゃあ、紅の優しさにつけ込むぞ?」

やっと笑顔になってくれた。

『いいよ。もう怒ってないし。』

「まぁ、そういう意味じゃないんだけど、ゆっくりでいっか。」

そう言いながら、ほっぺを手の甲で撫でられた。

それが、なんだかすっごく優しくて。

かなり恥ずかしかった。
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