宝物な君と
「そうですか。いや、うちはいちおこれでも有名な企業なもので、永久にはそれ相応の方とのお見合いなどがありましてね。」

何が言いたいのかしら?

『だから、別れろとおっしゃりたいんですか?』

単刀直入に聞くわよ、私は。

伊達にシングルマザー3年もやってないわよ。

強くなきゃ、守れないものもあるのよ。

「はっきり言うと、そうですね。のみこみが早くて助かります。」

ニヤリと笑いながら、そう言う永久父。

『お帰りください。』

「じゃあ、別れるということですね?」

『お帰りくださいと、申しました。』

「へっ??」

永久父、ダンディーさの欠片もなくなった、キョトン顔ね。

『家柄で差別するような方とは、わかりあえませんから。瀬高家はお金持ちで藤沢家は一般庶民。だから何ですか?大企業のトップだと、そんなにエライんですか?』
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