宝物な君と
やんわり断ってるのに、それを全くわかってない勘違い女がまだ続ける。

「じゃあ、服部さんケータイ教えてくださいよぉ。」

…その話し方、可愛いと思ってんのか。

あほみたいだぞ。

余計イライラさせやがって。

蒼空が何か言う前に一言だけ、オレは蒼空に向かって言う。

「こんどから面接はオレも立ち会うぞ。人事にそう言っとけ。」

「了解しました。」

オレの言葉に固まる二人の女。

ニコニコ黒い笑みを浮かべながら、蒼空が女に向かって言った。

「良かったね~君たち。来年度の受けてたら確実に、うちに入れてなかったよ?まぁ、君たちのおかげで人事部長の人を見る目がない無能さがわかって良かったよ。お礼言っておいてくれる?ていうか、いいや。今日呼び出して直接言うから。じゃ、早く仕事に戻ってね~。」

実はズバズバ言うオレよりも、かなり腹黒い蒼空。

キレたらマジで相手を精神的におとす。

いつもが軽い優男なだけに、ダメージでかいよな。

まぁ、オレは今は紅以外どうでもいいし、考えたくないからほっておく。

ちょうどエレベーターが一階に着き、ドアをこじ開けるように外に飛び出した。
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