宝物な君と
「じいちゃん、またここか?今日は出てほしいパーティーだと言ってあっただろ。服部さんまで何やってんだよ。」

いつかの失礼な孫が突然入ってきて、捲し立てる。

「すみません、永久(とわ)様。」

慌てて服部さんは立ち上がり、頭を下げる。

「服部、謝るな。わしはもう引退した身だ。必要ないだろう。」

「必要だからいってんだよ!今からでも遅くないから!」

「ママぁ。おにぃちゃん怖い!」

七くんが抱きついてきた。

怒鳴り声なんてあまり聞いたことないから。

「永久!小さな子供の前で怒鳴るな。ごめんよ、七くん。」

瀬高さんが優しく頭を撫でてくれるから、七くんも泣きそうな顔が和らいだ。

「ふぅん、子供を使ってたらしこんでるわけだ。有名なじいちゃんだからなぁ。こりゃ、旦那もうかうかしてらんねーよな、親子揃って人たらしだと。」

「永久様!」

「永久、言い過ぎだ。」

服部さんと瀬高さんが怒ってたから。

私はわりと冷静だった。

「旦那…?」

七くんが意味を尋ねてくる。

意味がまだわからなくてよかった。

『パパのことよ。』

「このおにぃちゃんはパパのお友達?!パパってどんなパパだった?!ママは優しくてかっこよかったっていうから、写真でカッコいいのはわかるんだ。でも、お友達のおにぃちゃんから見てどうだった?!」

胸が締め付けられるかと思った。

一生懸命問う姿に。

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